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目標管理ができない組織
ある組織のトップから、「石井さん、今の上司に評価されたくない、という意見が何人かからありました。なのでうちで目標管理を行うのは難しいと思います」といわれ目標管理制度の導入をやっとのことで行っていたのに、運用の継続を泣く泣く諦めたことがあります。
このように分かり易いケースだけではなく、せっかく目標管理制度を導入したにもかかわらず、露見はしないけれど社員が上記と同じ思いをもち、仕方なく制度運営が行われている組織がいくつもあります。成果がまったく挙らないわけではないとしても、制度整備や運用がうまく行われず、期待する効果が得られない状態にあります。
一体どこに問題があるのでしょうか。
- 上司がリーダーとして信頼されていない
- 上司がリーダーとして機能していない
といった直接的なものだけではなく、
- 何のために目標管理を行うのかが社員に納得されていない
- 制度整備が不完全
- 現状にある程度満足しているトップが、達成しなければならない具体的な目標を提示していない
- 上司も部下にも現状を打開しようという思いがない
- 仕事を好き嫌いでとらえている
- 何よりも組織に勢いがない
といったことが遡上にのります。
コミットメントの必要性
組織に不可欠なガバナンス体系の一つである目標管理は、訴求力のあるビジョン→中計→経営方針→年度計画→目標管理といった位置づけにあり組織目標→部門目標→個人目標として展開されます。別の視点からみれば、KGI→KFS→PD→KPIといった流れで具体的な行動につながるものです。
個人の目標の多くは定量化され、行動も具体的です。コミットメント(公約)システムにより個人のやりたいことと組織目標の整合性をとり、社員が腑に落ちた目標を設定し、上司の支援のもとに個人目標を達成すれば、達成感も得られるし評価(承認)もされる、といった環境で仕事を進めることができます。
未来を見据えたトップにより、それぞれ課題はありながらも前向きにリーダーシップを発揮できるリーダーが育成されてOne on one(上司と部下が一対一で面談すること)により行われるコミットメントシステムのなかで目標管理制度が運営されるのであれば、目標管理制度がうまく進まない筈はありません。
コミットメントのための要件
少し端折って説明したので分かりづらかったかもしれませんが、ここで挙げた項目を一つ一つ確立すれば、誰もが望む成果を得ることができるのです。冒頭にあげたエピソードは、特殊なケースではありませんが、本来の制度のあり方を理解していないトップにより下された結論であり、得られる筈の成果を棄損した、とてももったいない事例でした。
なお、制度整備や運用を行ううえで重要なのは、実はOne on oneです。
One on oneが上手く進めば制度全体が機能的に行われるし、制度整備が完璧でもOne on oneで失敗すれば結局は部下の執着を得られず目指す成果を得られない可能性があります。One on oneが期待通りに上手く進むための要件は、
- 魅力的なビジョン
- 明確な戦略と目標
- 個人のやりたいことの引き出し
- 上司への信頼
です。
One on Oneの再認識を
多くの社員が、組織行動に魅力を感じるとともに、何をすれば目標をクリアーできるのかを理解できる。目標への取組みは自分のやりたいことを達成できるチャンスだということについて、信頼できる上司と議論できることがOne on one成功のポイントなのです。
この4つのポイントは奥が深く、一朝一夕に完全なものを創りあげることは困難です。しかし、時間はかかるかもしれませんが、一つ一つを意識し具体的な行動を以てすればこれらを確保することが可能です。
例え目標管理制度が未整備としても、組織マネジメントを行う者には、類似の状況を意識したうえで4つのポイントを押さえ、日々の行動をより良い方向に誘導し続けることが求められています。
組織は社員一人ひとりのやる気や力をどのように成果につなげていくのかを考え行動しますが、One on oneはその中心に位置する重要な機会であることを再度認識する必要があります。
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