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2つのコスト削減

事業を行うときには、要約して言えば、事業計画を立案して資金を調達し、建物を賃借し若しくは保有し、人を雇用し給与を支払います。業種に応じた生産や仕入れ活動を行い、サービスを提供したり商品を販売します。生産や仕入には原価が発生します。職種に合わせ人が活動し成果を挙げるために活動します。資金調達コストを支払い余資を預け運用益を出すこともあります。

当たり前のことですが、こうした活動のなかでコストを発生させ収益そして利益を得ることが事業の目的の一つです。ここで事業を成功させるポイントはできるだけ少ないコストで収益を挙げることです。利益から営業キャッシュフローが生まれるため、コスト管理や削減は事業を行ううえで大きなテーマになります。

さて、コスト削減には二種類があります。コスト絶対額削減と単位当たりコスト削減です。コスト絶対額削減は、購入コストや消費コスト、管理コストそのものを削減すること、そして単位当たりコスト削減は一人ひとりの生産性を高め、時間当たりコストを削減することを言います。

コスト絶対額削減

コスト絶対額削減はコストそのものの直接的な削減であり物やサービスを購入しない、使用を制限する、使用しないということや購入の価格を引き下げることで達成できます。現状使っている物やサービスが本当に必要なのか必要ではないのかについての判断を行うことや必要であるとしても使い方や併せて価格が合理的であるかについての検討を行うことが適当です。

ただ、コスト絶対額の削減には限界があります。物やサービスの購入を0にすることや価格を極端に低くすることは困難だからです。また、怖いのはコスト絶対額の削減が、必要な経費を使わないことや使用を延期して成果が出たことにされたり仕入先に無理をさせて成立する事です。禍根を残すやり方です。

なお、最も価値を生む余地のあるコストは人件費です。とはいっても人件費を直接引き下げることはナンセンスです。

単位当たりコスト削減

人の生産性、すなわち時間当たりの成果を高めることで時間(単位)当たりのコストを引き下げる方法が有効です。例えば8時間で10の仕事をしていた人が8時間で20の仕事をこなせるようになることは1時間で倍の仕事を行えるようになること、すなわち生産性を2倍にしていることを意味しています。

単位当たりコスト削減のためには、

  1. 一人ひとりの目標明確化
  2. スキルを高める
  3. 業務フローの見直しを行う
  4. 組織間のコンフリクト(衝突)をなくし(=協力体制づくりを行い)働き易い環境をつくる

ことが必要です。

コスト削減の取組み

上記の達成は多くの取組みを必要とするため簡単なようで簡単ではありません。例えば明確なパーパスの元でのBSC(バランストスコアカード)の導入やOne on oneによるコミットメント(公約)の仕組み、評価・教育ツールの開発や業務フローの見直し、改善、DX化、現場の協働に関する課題解決、リーダーシップの強化が必要となります。要は人が能力を発揮できる組織は生産性が高くコストが低減しているという結論です。

この視点からみてマネジメントが確立し多くの自立したリーダーや従業員が組織内外で連携し成果を挙げる組織は間違いなく収益性の高い事業を行うとともに高い生産性を維持し成長し続けていけることが理解できます。

コスト削減というテーマは、リーダーや従業員が合目的的に活動できる文化や風土、仕組みを持った組織づくりを志向するマネジメントのなかから解決できることが確認できました。

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